仮定法は難しくない:現実のストーリーとの並置学習術

「If I were you, I would…」

こんな例文を見たことはありますか?

文法としては理解しているのに、いざ自分で使おうとすると使えない。。

そう感じているB1レベルの英語学習者はとても多いです。

 

でも安心してください。仮定法は特別な知識やセンスが必要なものではなく、”現実のストーリー”と並べて学ぶことでグッと理解しやすくなります。

この記事では、「仮定法が苦手」という悩みの本質を明らかにし、実践的な学習術をお伝えします。


仮定法が苦手な理由

理由1:現実と非現実の区別が曖昧

仮定法が難しく感じるのは、「現実」と「非現実」を英語で区別する感覚に慣れていないからです。

日本語では「〜だったらいいのに」「〜すればよかった」などの表現を曖昧な時制や文脈で自然に使えます。しかし英語では、時制や助動詞の使い方で現実と非現実を明確に区別します。これは日本語にはない論理的な構造であるため、最初は違和感を覚えるのも当然です。

たとえば次の2文を比較してください。

  • If I had more time, I would travel more.(実際には時間がない)
  • If I have time, I will travel.(実際に可能性がある)

これらの違いを感覚的に理解するには、単なるルールの暗記では不十分です。現実と非現実の背景を想像しながら学ぶ必要があります。

理由2:「仮定法=文法項目」という固定観念

仮定法を「試験用の文法知識」として学ぶことが多く、実際の会話との接点が見えにくいのも難しさの原因です。

中学や高校では、文法の正確さばかりが重視され、「使える英語」として仮定法を学ぶ機会が限られています。そのため、学習者の多くが「仮定法=難解で使いにくい」という印象を持ってしまうのです。

たとえば、教科書でよく出てくる次の文:

  • If I were a bird, I would fly.

このような例文は、現実味に乏しく、自分の生活や感情と結びついていないため、記憶にも残りにくく、応用も難しくなります。


解決策:現実ストーリーと並べて学ぶ

「仮定法」は、“今の現実”と“もしもの世界”を対比することで、その意味がよりクリアになります。

これは「並置学習(juxtaposition learning)」と呼ばれる手法で、二つの異なる状況を対比することで理解を深める方法です。

人間の脳は、ストーリーと因果関係をセットで理解すると記憶しやすくなる特性があります。これはスキーマ理論にもとづくもので、既存の知識構造(スキーマ)に新しい情報を組み込むとき、記憶が定着しやすくなるという原理です。

たとえば次のような形式で学習します:

  1. 現実:I live in Tokyo and work 10 hours a day.
  2. 仮定:If I lived in the countryside, I would have more free time.

このように、自分の現実と「ありえたかもしれない選択肢」を対比することで、仮定法のニュアンスを自然に理解できます。

実践トレーニング:あなた自身の「現実→仮定」を書こう

仮定法を「自分事」にすることで、学びは一気に深まります。

たとえば:

  • 現実:I can’t speak English fluently.
  • 仮定:If I could speak English fluently, I would talk with foreign travelers.

このように、自分の現実の生活や悩みから仮定の世界を構築することで、仮定法が単なる構文ではなく「自己表現の手段」へと変化します。

この練習は、ノートに書き、声に出して言ってみるのが効果的です。毎日3ペアずつ、自分の現実と仮定を英語で表現することで、徐々に仮定法が自然な表現として身についていきます。


第二言語習得論の視点:意味あるインプット×アウトプット

仮定法の習得には、意味のある文脈の中での「インプット」と「アウトプット」が不可欠です。

言語習得理論によれば、人は自分の関心に関わる内容から最も効率的に学ぶとされています。また、学んだことを自分で使ってみるプロセスが、文法的な正確さを高める鍵になるとされます。

具体的には以下のような実践が効果的です。

  • 映画やドラマから、仮定法のセリフを見つけてノートに書き出し、何が「現実」と「仮定」なのかを分析する。
  • 好きなキャラクターになりきって、「If I were in Hogwarts, I would learn magic」など、自分の関心に沿った例文を作成する。
  • 仮定法が使われている曲の歌詞を探し、訳しながらその背景を想像してみる。

こうしたインプットとアウトプットの組み合わせによって、仮定法の理解と運用力が飛躍的に高まります。


実践アドバイス:仮定法が自然に身につく3つのステップ

では、実際に練習してみましょう!

ステップ1:現実の自分を1文で表現する

まずは、現在の自分の状況や悩みを英語で1文にまとめましょう。

例:「I don’t have enough time to study English.」

ステップ2:「もし〜だったら?」を考える

次に、その現実を前提にして「もし〜だったらどうなるか?」を想像して文を作ります。

例:「If I had more time, I would study English every day.」

ステップ3:音読+英作文で定着させる

作った文は声に出して何度も読み、さらに別の内容でも同様のパターンで作文することで、自然と使い方が身についていきます。

毎日3ペアずつ練習する習慣をつけると、1か月後には仮定法が自分の言葉として使えるようになります。


まとめ:仮定法はあなたの想像力を表現する道具

仮定法は、「実際には起きていないこと」を自由に語るための文法です。それは、夢や希望、後悔や提案など、感情のこもった英語を話すための力強いツールです。

難しいルールではなく、「自分の現実ともうひとつの可能性」を比べて表現する手段だと捉えることで、仮定法はぐっと身近になります。

現実と仮定を並べる練習を、今日から少しずつ始めてみましょう。あなたの英語表現力が、大きく広がるはずです。

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