英語を聞いても「音は聞こえるのに意味が取れない」「細かい部分が聞き取れない」と感じたことはありませんか? その原因の多くは、音の認識力不足にあります。こうした悩みを解消するのに効果的な学習法が「ディクテーション」です。
本記事では、ディクテーションの概要やメリット、具体的なやり方、どのような学習者に向いているかを、第二言語習得論の観点も交えて詳しく解説します。
ディクテーションとは?
ディクテーションとは、英語の音声を聞き取り、聞こえた内容を一語一句書き取るトレーニングです。シンプルな方法ですが、リスニング力の基盤となる「音声知覚」を徹底的に鍛えるのに非常に有効です。
音を聞き逃さず、正確に把握する力が身につくため、英語を「なんとなく聞く」のではなく「しっかり聞いて理解する」習慣がつきます。
ディクテーションの効果とメリット
音声認識力の強化
英語の音のつながり、消失、リエゾンといった現象に注意を払いながら書き取ることで、細かい音の違いや変化に敏感になります。
集中力と注意力の向上
書き取る作業は高い集中力を必要とするため、注意深く音声を聞く習慣が身につきます。これによりリスニング中の「聞き逃し」も減少します。
文法・語彙・綴りの習得
書き取りながら、英文構造や語彙、正しいスペルも確認できるため、総合的な英語力の底上げに役立ちます。
ディクテーションのやり方
- 自分のレベルに合った音声素材を選ぶ(短めの会話やニュースなど)
- 一文ずつ再生し、聞こえた通りに書き取る(単語や綴りがわからない場合は、聞こえたとおりに一旦書いておく)
- 再生と書き取りを数回繰り返す(最初は3回程度が目安)
- スクリプトと照合し、間違いや聞き取れなかった箇所を確認
- 発音や文法のパターンを分析し、改善点を明確にする
ディクテーションに向いている学習者
初級者〜中級者
・単語の聞き取りやつづりに不安がある方 ・英語の音声変化(リエゾンや省略)が苦手な方
基礎的なリスニング力を固めたい段階では、ディクテーションが非常に効果的です。
上級者
・自分のリスニング力を客観的に把握したい方 ・IELTSやTOEFLなどアカデミックな英語に対応したい方
内容の精緻な把握が求められるため、ニュースや学術講演などを使えばさらに効果が上がります。
第二言語習得理論に基づくディクテーションの意義
第二言語習得論では、音声知覚の精緻化がリスニング上達のカギであるとされています。ディクテーションはその精緻化を促進するため、「聞ける英語」を増やすトレーニングになります。
また、「注意の焦点化」(Noticing Hypothesis)という観点からも、書き取りながらの誤り発見・修正は学習効果を高める重要なプロセスです。
文法は理解できてるのに、話すときについ間違えてしまう… 英語がある程度話せるようになってきたB1レベルの学習者にとって、次のステップに進むためのカギは「Noticing Gap(ノーティシング・ギャップ)」を埋めること[…]
まとめ
ディクテーションは、リスニングの土台を強化し、細部まで正確に聞き取る力を高める優れた学習法です。初心者にも実践しやすく、上級者にとっても分析力や精度を養うトレーニングとして有効です。
毎日少しずつでも継続すれば、確実に「聞き取れる耳」が育ちます。ぜひあなたの英語学習に取り入れてみてください。