日本語と英語の決定的な違い「ハイコンテクスト」vs「ローコンテクスト」

日本語と英語の決定的な違い「ハイコンテクスト」vs「ローコンテクスト」

コミュニケーションは、異なる文化や背景を持つ人々が互いに理解し合うための重要な要素です。
しかし、文化間のコミュニケーションにおいては、ハイコンテクストとローコンテクストという異なるスタイルが存在します。

日本語のようなハイコンテクスト文化では、情報が暗黙の了解や非言語的なサインによって補完され、言葉だけでは伝えられない重要な意味が含まれています。「空気を読む」文化ですね。
一方で、英語のようなローコンテクストの文化では、情報はより明確に直接的に伝えられます。空気ではなく「言葉」で伝える文化です。

ハイコンテクストとローコンテクストの違いを理解することで、異文化間でのコミュニケーションの課題や誤解を減らし、友好的で効果的な会話をすることができます。
本記事では、ハイコンテクストとローコンテクストの特徴や違いについて解説し、異文化間のコミュニケーションにおける重要性と具体的な実践方法についても探っていきましょう。

日本語と英語の決定的な違い「ハイコンテクスト」vs「ローコンテクスト」

日本語と英語は正反対の言語同士です。

文構造の順序が逆なだけでなく、コミュニケーションのスタイルも真逆です。

英語と日本語の語順の違い
・I went to the library to study English yesterday.
・私は昨日英語を勉強するために図書館に行きました
英語と日本語のコミュニケーションスタイルの違い
・英語:ローコンテクスト文化
・日本語:ハイコンテクスト文化
語順の違いは文法を学習することで身に付けられますが、コミュニケーションスタイルの違いは長年英語を学習していても学ぶ機会は少ないです。
しかし、コミュニケーションスタイルの違いを知ることで、英語でコミュニケーションを取るときにどのようなことに気を付ければいいのかがわかるので、ぜひ理解しておきたい点です。

ハイコンテクスト文化(日本語)

日本語のハイコンテクスト性は、情報を共有する文脈や関係性に重点を置く傾向があります。

日本語の会話では、文脈によって省略されたり、言葉に出していなくても相手に理解を求めたり、会話の背景を暗示されたりすることがよくありますよね。

会話の相手は、共有された情報や背景知識を基に、会話の意味を理解する必要があります。具体的な指示や要求が直接的に言及されることは少なく、暗黙の了解や相手の感情や状況を推測することが求められているのです。

 

例えば、「好きな食べ物は何ですか?」と聞かれて、「お寿司です。」とだけ答えるのはとても自然な日本語の会話です。

質問した人は、文脈や相手の文化背景を考慮して、「お寿司が好きな理由」や「お寿司がどんなものか」を推測して会話を続けます。

 

しかし、英語のようなローコンテクストの文化ではこのような会話は不自然に感じます。

ローコンテクスト文化(英語)

英語はローコンテクストの言語であり、情報は言葉自体に含まれる傾向があります。

英語では、直接的な表現や明確な指示が一般的であり、情報の欠落や省略が少ないです。

具体的な情報が文脈に依存せず、言葉自体によって明確に伝えられます。

 

先ほどの例でいうと、「好きな食べ物は何ですか?」の質問に対し、「お寿司が好きです。お寿司は日本の伝統的な食べ物で、特別な日に食べることが多いので、お寿司を食べるときはいつも嬉しい気持ちになります。」のように、質問してきた相手との共通理解がない前提で詳細情報を付け足して話します。

必然的に言葉で伝える情報量が多くなります。

 

敬語・謙譲語の使用

謙譲語や丁寧語の使用も、ハイコンテクストの要素と関連しています。

日本語では、相手に対して謙虚な態度を示すために、謙譲語を使うことが一般的です。これは、言葉の間接性を高める一例です。

一方、英語では、直接的で明確な表現が好まれるため、謙譲語の使用は限定的です。英語では、一般的には相手に対して敬意を示すために丁寧な表現や礼儀正しい言葉遣いを使いますが、謙虚さを示すための特別な言語的な手段は日本語ほど頻繁には使われません。

 

さらに文化的な背景や社会的な慣習も、ハイコンテクストとローコンテクストの違いに影響を与えます。

日本語は、人々が密接に関わり合う社会構造を持つ日本の文化に根ざしており、人々の関係性や共有された文化的価値観に基づいています。

一方、英語はより個人主義的な文化や社会に根ざしており、直接的なコミュニケーションと個人の自己主張が重視されます。

 

英語のローコンテクストの文化に馴染む方法

以下のポイントを実践することで、ローコンテクスト文化により馴染み、効果的に英語でコミュニケーションを行うことができます。

直接的な表現を意識する

ローコンテクスト文化では、情報は明確で直接的な形で伝えられます。

自分の意図や要求を明確に伝えることが重要です。思ったことや必要なことを率直に表現し、間接的な表現や暗示を抑えるよう心がけましょう。

自分の考えや感情を遠慮せずに表現することが必要です。遠回しに表現するよりも、直接的な言葉遣いや表現方法を使い、相手とのコミュニケーションを円滑に進めることが大切です。

なにか質問をされて、「I don’t know..」と答えることを諦めず、思っていることを率直に言葉で表現しましょう。
意見に「正しい」も「間違っている」もないので堂々と自分の気持ちを言葉にしましょう。

論理的思考と分析力を養う

ローコンテクスト文化では、情報が言葉自体に含まれるため、論理的思考や分析力が重要となります。

日本人がローコンテクスト文化に馴染むためには、情報を整理し、論理的な順序で伝えるスキルを養うことが役立ちます。要点を明確にまとめ、的確な情報を伝えることを意識しましょう。

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文脈を明示する

ローコンテクスト文化では、文脈を言葉で明示することが期待されます。

そのため、情報の背景や文脈を言葉で伝えることが重要です。情報の前後関係や関連する要素を説明し、相手に十分な情報を提供することを心がけましょう。

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直接的なフィードバックに慣れる

ローコンテクスト文化では、直接的なフィードバックが一般的です。

自分自身の意見や感情を率直に表現するだけでなく、他人からの直接的なフィードバックも受け入れることが必要です。

感情を適切にコントロールし、建設的なフィードバックを受け取る姿勢を持つことが重要です。

あなた自身の人格を否定しているわけではなく、「あなたの意見と異なる」と言われているだけです!

独自の意見を主張する

ローコンテクスト文化では、個人の主張や意見を重視します。

自己認識を高めることで、自身の感情や表現に対する意識を高めることができます。自分自身や他人とのコミュニケーションにおいて、より敏感で注意深い姿勢を持つことが重要です。

また、他人との意見の相違を受け入れ、自分の立場を適切に理由づけして説明することが求められます。自己主張や議論において、論理的な根拠や事実を提示し、相手を納得させるようなアプローチを取りましょう。

相手の意見と違ってもいいので、自分の主張を堂々と述べるほうが円滑なコミュニケーションを行うことができます。

文化の多様性を尊重しながら、自分自身のアイデンティティを保持することが重要です。

相手を尊重する

ローコンテクスト文化では、相手の文化の多様性を尊重することが重要です。

自分の主張を堂々と述べることを求められているのと同じように、相手も直接的なコミュニケーションや、自分が理解できないことや相対することを言う事もあります。

他の文化の慣習や価値観を理解し、適応する姿勢を持つことが必要です。異文化間の交流や学習を通じて、文化的な違いに対する理解を深めたいですね。

ローコンテクスト文化は直接的な表現を好むとしても、相手自身を否定したり、相手の文化を否定するようなことはせず、相手を尊重しましょう。

「はっきり物事を言う」というのは「意地悪になる」ということではありません!

 

 

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