英語がある程度話せるようになってきたB1レベルの学習者にとって、次のステップに進むためのカギは「Noticing Gap(ノーティシング・ギャップ)」を埋めることです。
“Noticing Gap”とは、自分が「言いたかったこと」と「実際に言えたこと」との間にあるギャップに気づくプロセスを指します。第二言語習得論(SLA)において、人は自分の間違いや言い損ねに気づいたときにこそ、言語習得が加速すると言われています。
たとえば、「昨日映画を見た」と言いたかったのに、口をついて出たのが“I see a movie yesterday.”だった場合、「あ、過去形じゃなかった」と気づくことで、自分の文法運用に修正が入ります。これがまさに”Noticing Gap”です。
この”気づきのギャップ”を意図的に生み出し、埋めていくことが、B1からB2、さらにはC1レベルへの飛躍を可能にします。
自録音 × 自己添削の黄金比:Noticing Gapを最大化する方法
Noticing Gap”を効果的に活用するためには、「自分の発話を録音し、それを自分で添削する」方法が非常に有効です。
録音することで、自分の話す英語を客観的に聞き返せます。そして、テキストに書き起こす、または何度も聞き返すことで、自分のミスや不自然な表現に気づけるのです。
これは自然な会話中ではなかなか得られないフィードバックです。
たとえば、毎日3分間のスピーキングを録音し、それを次の日に聞き直してノートに書き出し、文法や語彙、発音の誤りをチェックします。
さらに正しい表現を調べ、もう一度言い直してみる。この一連のプロセスで、Noticing Gapが明確になり、同じ間違いを繰り返しにくくなります。
録音と自己添削は、いわば「自分専属の英語コーチ」を持つようなものです。時間もお金もかからず、学習効率を大きく高めることができます!
自己添削の具体的ステップとコツ
Step1: 録音する
- スマホのボイスメモでOK。
- 1トピック3分程度が目安。
- できればテーマを決めて話す(例:「週末の予定」「最近読んだ本」など)。
Step2: 聞き返す
- 通しで一度聞く
- もう一度、止めながら書き起こし(トランスクリプト作成)
Step3: 添削する
- 文法ミス、単語の誤用、不自然な表現をチェック
- オンライン辞書やAIツールも活用
Step4: 正しい表現で言い直す
- 同じ内容を再録音
- 自分の成長を感じられるポイント
SLAに見る「気づき」の重要性
第二言語習得理論では、「気づき(Noticing)」が学習の起点であり、無意識の繰り返しよりも意識的な学びが上達を導くとされています。
特にB1レベルでは、すでに「ある程度話せる」状態にあるため、自分の話す英語の質をどう高めるかが課題になります。ここで「自己添削」という意識的プロセスが大きな意味を持ちます。
まとめ:Noticing Gapを超えて、自信ある英語力へ
- Noticing Gap”とは「言いたいこと」と「言えたこと」の差に気づくこと
- このギャップに気づくことが学習の加速装置となる 録音と自己添削は、ギャップに気づき、埋めるための最強ツール
- B1レベルの今こそ、この学習法で「質」の高い英語力へと進化できる