英語スピーキングができない5つの要因【第二言語習得で解説】

オンライン英会話でレッスンを続けているのに、なかなかスピーキング力が上達しない…

と感じたことはありませんか?

 

なかなか言いたいことを英語で言えるようにならない、と悩んでいる人はとても多いです。

この記事では、なぜ英語でスピーキングが出来ないのか、5つの要因を第二言語習得研究の観点から科学的に解説します。

第二言語習得研究(SLA)とは
第二言語を習得するメカニズムやプロセスを科学的に解明する学問です。
脳科学や言語学、心理学、社会学といった学際的アプローチに基づく理論を参考にすることで、効率的・効果的な学習方法を提案します。
この記事を読むと、英語でスピーキングがうまくできない要因に気づき、上手く話すためのプロセスや学習方法がわかるようになります。

スピーキングができない5つの要因

第二言語習得研究に基づくと、英語のスピーキングができない要因は次の5つに分類されます。
  • 概念化
  • 文章化
  • 音声化
  • 知識
  • 処理速度

この5つの要因の弱点を改善することで英語が話せるようになります。

概念化とは

英語のスピーキングにおける「概念化」とは、言いたいことをイメージする力のことを指します。

例えば、おなかがグゥ~となったときの頭の中は…

直接的に「おなかが減った。」と文章が思い浮かぶ人もいれば、

間接的に「なにか食べたいな…」と考える人もいますし、

食べたいものをイメージとして「ラーメン」「カツ丼」のように思い浮かべる人もいます。

 

人によって、概念化の特徴は異なりますが、英語のスピーキングを学習は、絵でのイメージ>間接的なイメージ>直接的なイメージの順で、伝えたいことを言いやすくなります。

 

なぜなら、「おなかが減った」という直接的な文章で思い浮かべてしまうと、「Hungry」という単語を知っていないと、英語で言いたいことを表現できないからです。

わからない英単語があるたびにスピーキングが止まってしまうと、いつまでたっても単語学習から抜け出すことができません。

一方、「ラーメン」「カツ丼」など、様々な食べ物のイメージを思い浮かべることができれば、その中から一つでも知っている英単語があれば、言いたいことを表現できることになります。

英語の発話ロジック

英語を話すときの組み立てかたは日本語とは異なります。

  • 英語:結論+詳細(理由や例え、背景)結論ファースト!
  • 日本語:詳細(理由や例え、背景)+結論

英語を話すときは、英語の発話ロジックで概念化することが、英語を話せるようになるために重要です。

文章化とは

「文章化」とは、頭の中でイメージ(概念化)したものを、英語の文章にする力を指します。

単語や文法知識の引き出しから必要なものを取り出し、単語と文法を組み合わせて文章を作ります。

 

概念化の段階で、1文章でしかイメージできていない場合、単語量が足りずに文章化できないことがありえますし、母国語の日本語で複雑な文章をイメージしている場合に、文法知識が足りずに文章化できないこともあります。

そのため、文章化しやすいように概念化するトレーニングをすると同時に、単語や文法の知識を増やすことも大切です。

音声化とは

「音声化」とは、英単語の発音やイントネーション・リズム・抑揚を正しく用いて発話する力です。

単語一つ一つの正しい発音ももちろん大切ですが、英語は日本語よりもトーンの上げ下げなど抑揚がある言語なので、イントネーションもとても大切です。

これらを適切に用いて声に出す(音声化)ことで、相手に言いたいことが伝わります。

 

知識とは

英語スピーキングに必要な「知識」とは、概念化・文章化・音声化のための、脳内知識データベースです。

知識データベース

概念化
  • 結論+詳細の順序で考える
  • イメージで捉える
文章化
  • 英単語
  • 文法
  • フレーズ
音声化
  • 発音
  • 音声変化
  • イントネーション

この知識データベースを充実させるためには、勉強が必要です。

処理速度とは

ナチュラルスピードで英会話をするためには、概念化・文章化・音声化を脳内知識データベースに素早くアクセスして必要な情報を取り出す「処理速度」を高めていく必要があります。

オンライン英会話の講師は優しいので、ゆっくりと処理して話しても待ってくれますが、処理に慣れるのを待つだけでなく、自発的に速めていこうという意識を持つことも大切です。

 

第二言語習得研究のスピーキングプロセス

5つの要因をふまえると、第二言語習得研究による英語のスピーキングプロセスは、以下のようになります。

学習優先度

概念化、文章化、音声化、知識、処理速度に優先順位をつけると、以下のようになります。

概念化>文章化=知識>処理速度>音声化

 

概念化は、日本語と英語を別の言語として捉えて、英語を話すうえで一番に身に付けてほしいスキルです。

 

次に、文章化ですが、ここでは知識があればあるほど文章化できる幅が広がりますので、一番学習時間がかかります。

とはいえ、文章化と知識にだけ時間をかけていても、英作文は上達するかもしれませんがスピーキング力は上がりません。

スピーキングプロセスにおいては、概念化したもの「言いたいこと」を音声化する「声に出す」ことがゴールですので、知識の詰込み型の学習にならないよう注意しましょう。

 

さらに、概念化したもの「言いたいこと」を瞬時に文章化する処理速度を上げたいですね。

処理速度が上がってくると、うまく言葉にできないストレスが減っていきます。

 

最後に、音声化です。

正しい発音やイントネーションで英語を話すことは、相手に伝えるための重要なスキルではありますが、日本語訛りの英語であっても「伝わる」ことが最優先です。

綺麗な発音よりも、英語的思考で概念化し、適切な英単語と文法を用いた文章力を身に付けるほうが大切です。

 

英語が話せない要因別の学習方法

概念化、文章化、音声化、知識、処理速度をどのようにトレーニングすればいいのか、学習方法の提案です。

概念化

文章化

音声化

  • シャドーイング
  • オーバーラッピング
  • リピーティング
  • 英語の音声変化

知識

処理速度

  • 瞬間英作文
  • WPM
  • 考える時間をかせぐための英語のFiller
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